宗岡克樹

腫瘍センター長

はじめに

日本のがん医療体制はがん対策基本法が成立してから、専門的な癌治療を行う高度機能病院、在宅の開業医、緩和ケアを行う施設の3本柱で進められてきました。新潟県にはがん拠点病院が8か所あり県立がんセンターを中心とした癌地域連携が進められています。しかし、きめ細かい癌の地域連携を行うためには、地域に密着しながらも外科治療や化学療法の分野で拠点病院に近いレベルを有する一般病院が必要とされています。

当院は新潟市街地から車で30分の田園地帯にある174床の中規模病院です。その環境の中で世界標準の化学療法を患者さんに提供するために、少ないマンパワーで可能な対処法を試行錯誤し、チーム医療にたどり着きました。CST(chemotherapy support team)という名称で、平成16年1月から活動しています。

特に医師以外のチームの主要メンバーである看護師、薬剤師、栄養士、医事課職員にチーム医療へ積極的に参加してもらうことを目的としています。現在このCSTの発展形としての腫瘍センターを平成25年4月1日に立ちあげ、腫瘍センター長に就任しました。

腫瘍センター

腫瘍センターの組織としては、診療部門と診療情報部門とに分かれますが、まずは診療部門の充実が第一と考えております。

診療部門としては、外来化学療法室を中心とした外来と入院での化学療法に大きく分けられます。

外来では従来胃癌、大腸癌、膵臓 胆道癌を中心とした消化器がんの化学療法を主体に行ってきました。しかし、腫瘍センターとなると他の臓器の癌も対象にしなければなりません。そのため腫瘍センターを消化器、乳腺部門にわけ、外来はそれぞれの専門医の診察としました。

乳腺に関しては、第1、3土曜日の外来診察を担当いただけることになりました。このように外来の専門医の充実が図ることが可能となりましたので、安心して外来受診していただけると考えております。

次に、腫瘍センターの役割についてお話したいと思います。腫瘍センターの役割としては、臨床で実際に患者さんを診察し、診断および治療することだけではなくて、診療レベルアップのために職員の教育(おもに看護師、薬剤師)も重要と考えます。また最先端医療を実施するために新潟大腸癌化学療法グループに所属して、抗がん剤の最先端の分子標的薬を用いた多施設共同試験にも参加しております。実際の臨床では、CST委員会で承認されたレジメン(抗がん剤の投与方法)を使用しております。

腫瘍センターは秋葉区およびその周辺地域における癌化学療法のコンパクトホスピタルを目指しています。新潟旧市内から30分前後という地の利を生かして、旧市内の癌拠点病院(新潟大学、がんセンター、市民病院)との密接な連携をとり、当院にない放射線療法は拠点病院に従来通りご依頼したいと考えております。多くの癌患者様にご来院していただき、より個人にあった治療を施行していきたいと考えています。